2017年1月11日

【平松陽一】組織を動かす経営計画 18

組織を動かす経営計画


18.社員の意見の吸い上げ方

一昔であるならば、社員の意見や不満を聞いたりするために、会社の帰りに
酒を飲むということが頻繁に行われていましたが、そのことが段々難しくなってきています。
そのために、しくみとしての自己申告制度が行われています。
しかし、多くの企業を見ていると、それが形骸化してしまっていることがあります。

私の関係先で、人事異動について動きたくないという意見が多く聞かれ、
これに従うのであれば、人事は硬直化してしまうことが考えられるのです。
そこで、会社側としては、異動したくないという社員の評価を厳しく、
異動してもよいという社員の評価が甘くなってしまうということがあったのです。

社員の意見は何でも聴くということは大切です。
しかし、それに従うかどうかは考えなければならないのです。
勿論、前向きなよい意見については、それに従ったり、取り入れたりするということを
基本にしなければなりません。
しかし、それは社員の意見に何でも従うことではないのです。
一方で、トップが忘れてはならないのは、何でも聴くという姿勢です。

ある時、若いコンサルタントが営業部長に向かって、折角意見を言ったって
どうせ社長の言うようになってしまうから、意味が無いのではと話をしたのです。
すると、この営業部長がやるかやらないかではなく、聴いてくれるということが大切なのです。
と答えたのです。

この言葉は、組織運営の本質的部分であるのではないでしょうか。
ここのところの意味を取り違えると、組織そのものの舵取りを誤ってしまうことになりますので
注意したいものです。


次回:2017年1月25日 掲載

平松 陽一への講演依頼はこちら