2017年8月16日

【平松陽一】組織を動かす経営計画 30

組織を動かす経営計画


30.見えないものを見ることが明るさを与える

仕事の関係で秋田県へ行くが、その人口減少には考えさせられるものがある。
かつて、官官接待で栄えた川端の料亭はその殆どが閉鎖している。
その一方で、今でも元気に営業をしているところもある。
その共通点は、女将がしっかりしているところだ。例外はない。
一方で店を閉めていく料亭の特色は、
男性社長が表面に出て、正直に不況の話をし過ぎるところである。
話していると、一緒に話しているこちらまで倒産しなくてはならないのかと思ってしまう。
生き残っている料亭の女将さんと会話をしていて感じるのは、
元気だということだが、問題は空元気ではないのだ。
「不況で大変でしょう」と言うと、「本当に」と軽く受け流して、
「それなんで“がっこ”(秋田では漬物のことをがっこと言う)の通販をしている」
「少しやり方を変えた店を出している」と言うのだ。
攻めの手を打っていることだ。
かつての湯水のようにお金を使う官官接待はもう来ないというところに目を置きながらも、
次の手を打っているところだ。
少なくても計画経営の中で、押さえておきたいものは
見えない部分をいかに見えるようにするかである。
それは、一般的に言われている見える化活動のレベルのものではない。
足らない売上、利益をいかに確保していくかにある。
しかしその打つ手は、企業を根本的に救うことにはならないかもしれない。
だからと言って、打つ手もなくこの延長でいくのでは先が詰まってしまうことになりかねない。
近藤家では、鉄から炭への転換の中で
昭和30年代の都市ガス、プロパンガス導入まで、その本体を何とか保つこととなる。
やりようによっては、更に生き延びたかもしれない。
たたら製鉄という伝統の中で、次の一手を見ようとしているところが興味深いところだ。

次回:2017年9月6日 掲載

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