2019年9月4日

【平松陽一】社長・後継者のためのホンネ経営 Ⅲ-29

Ⅲ.「稼業」


29.”人を育てる”の勘違い

どの会社の入社案内を見ても、社員研修の風景や育成プログラムの概要が出てきます。
そのような会社の幾つかで損益計算書を見ると人材開発費、研修費という名称がないことに驚かされます。人材育成の費用も計上せずに人を育成しているはずはありません。人材育成費はその他経費ではないのです。主たる経費なのです。むしろ、人件費の一部と見るべきなのです。
家業と企業の違いはここにあります。
人を育てようとするならば、しくみの投資を忘れないことです。
今では珍しくないフリーアドレスの職場で机だけ共用のものにしてシステムを変えないのです。これでは場所を自由に移動して仕事ができないという笑い話を聞きます。
そのため毎日事務所に戻らなければならないために、かえって面倒くさくなったということになりかねないのです。人を育て活かそうとするならば、仕事の周辺を変えていかなければなりません。
人を育てるには、本人に機会を与えて頑張らせるのと同時に、そのレベルに合わせたしくみが求められるのです。
そのことを理解しようとせず、表面的な世間の流行に流されていて、人材は育たないのです。

次回:2019年9月18日 掲載予定

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