オムニバスからなる恐怖ドラマで、映像化されたことが話題となったのが、ジェームズ・クラベル著の「23分間の奇跡」。この映像は、上手に説明できないものの、漠然とした恐怖を感じた人は少なくないと思います。どこか心の隅に留まったまま離れない作品になったはずです。
本書は青島幸男氏が訳してしており、非常に読みやすくなっています。あの時の衝撃を改めて感じたい方は、是非本書を読み直してみることをオススメします。内容としてはとても短いのですが、あまりにも深い濃度で書かれています。
誰でも「23分間」と聞けば、そこまで長くない時間をイメージするはずです。しかし、そんな23分間で劇中の少年少女達は世界の価値観を完全にすり替えられてしまいます。もちろんそれは力ずくではなく、話術によってです。
言ってみればこの物語を読んで「恐怖」を感じなかった方は、やや心配な点があるかもしれません。女性教師のように、笑顔と巧みな話術を武器にして行われる「洗脳」は、実は私たちの現実世界でも用いられているかもしれません。
「23分間の奇跡」レビュー
「教育とはどういったものなのか?」
「国家とはどういったものなのか?」
「自由とは一体どういったものなのか?」
本書では、ある小学校へ新任の女教師がやってくる。そして驚くべき23分間のドラマが起こってしまう……。恐怖なくして読むことができない、最高傑作といっても過言ではない。注目したいのは、小学生にも読めるようなやさしい文章になっていること。
そのため、大人だけでなく子どもでも読むことができるので、恐るべき問題をつきつける衝撃の物語として是非ともチェックしていただきたい。