社員教育・社員研修

社員教育・企業内研修

社員教育・企業内研修

社員教育・社員研修の必要性と目的、効果とは

 企業が継続的に発展していくために、社員のレベルアップを図る社員教育は欠かせません。社員教育は、社員が働く上で必要な知識やスキルを身に付けさせるためのものです。

 また、社員教育は、思い付きやスポット的にやるのではなく、計画的、段階的、継続的に行うことが大切です。企業の掲げるビジョンを実現するため、その時々に合わせて社員の持つ課題を解決することが必要となります。

 社員教育は、その目的や効果を理解した上で、計画的に進めましょう。

社員教育・社員研修の目的

 社員教育の目的は、社員一人一人のレベルアップを図り、会社もレベルアップすることで、最終的に会社の発展につなげていくことです。 

 新入社員、若手、中堅、管理職と、階層に応じて成長を目指すチャンスを与えます。そのなかで、社員に、目的意識を持ち、成長を実感し、働きがいを感じてもらえるように導くのです。そうすることで定着率を上げていくことも社員教育の目的と言えます。

 こうした人材の成長と、会社が成長する好循環を作ることこそが、社員教育が目指す最終的な目的なのです。優秀な人材の働きがいを高め、定着してもらい、社員教育の成果を発揮し続けてもらうために、発展的、継続的に社員教育を行い、常に成長のチャンスを与えるようにしましょう。

 社員教育こそ、会社の成長を実現するための原動力となります。

社員教育・社員研修の種類 (階層別教育)

1 新入社員研修

 学生から社会人へのマインドセットを行うことが、新入社員研修の大きな目的となります。甘えが許されてきた今までの環境とは違うことを認識させ、自立心を持って仕事に取り組む心構えを説きます。

 それに加えて、基本マナーの知識習得、実践です。挨拶、礼儀、言葉遣い、電話応対、接客応対など、身につけるべきことは山のようにあります。最近の学生は、上下関係の緩い人間関係のなかで育ってきていますので、礼儀やマナーを身につける機会が少ないのです。丁寧に、なぜ必要なのかという理由を説明しながら、根気よく教えることが必要でしょう。

 部署に配属されてからは、その部署ごとに研修を受けることになります。実際の仕事を通じて行うOJT教育が中心です。仕事を行いながら、教育担当の先輩社員から仕事を学びます。

 ここで気を付けたいことは、教育担当者によって教育の質が左右されるということ。せっかく苦労して採用した新入社員を定着させるため、どのように進めればいいか、教育担当者への事前の教育も必要です。

新入社員研修(オーダーメイド研修)のプログラム事例はコチラでご覧ください

2 若手・中堅社員研修

 入社して2、3年経ち、、業務に慣れてきた若手社員、中堅社員に対しては、プレイヤーとしての意識からリーダーとしての意識への転換が求められます。モチベーションの向上、次期リーダーとしての自覚を持つこと、後輩指導の基本スキルをメインとした教育が必要です。

 また、職場リーダーとしてチームをまとめるタイミングでは、リーダーシップのあり方や実践方法を学べる研修が効果的です。管理職を補佐する中堅社員に対しては、管理職と現場の部下・後輩、双方とコミュニケーションをとることによって、組織を動かし、成果を上げるためのスキルの構築が求められます。

中堅社員研修のプログラム事例はコチラでご覧ください

3 幹部・管理職研修

 管理職者向けの研修としては、マネジメントに関する内容が必要です。マネジメントの基本から始まり、マネジメントでの悩みや課題を解決できる研修を充実させることで、管理職として活躍しやすい環境を整えていきます。

 新任管理職に対しては、役割意識や組織運営に必要な基礎的なマネジメント能力を身に付ける内容が必要です。また、経験を積み、実績を上げている管理職に対しては、さらに上を目指す上級管理職研修として経営層に近い立場や職責の認識を進めましょう。経営戦略の立案やリスクマネジメントを学ぶ内容がふさわしいです。

幹部・管理職研修のプログラム事例はコチラでご覧ください

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社員教育・社員研修の実施方法

 社員教育には、その目的や実施内容によって、社内研修と社外研修という2つの実施方法があります。それぞれ、メリットとデメリットがあり、効果的に使い分けることが必要です。

1 社内研修

 社内研修は、社長、役員や上司、社内の教育担当部署が講師を務めるなどして実施する研修です。低コストで、企業の持つリアルな問題点や課題に沿って、的確に教育することができます。

 一方で、社内研修は、知っているメンバーで研修をやるため、緊張感に欠け、モチベーションが上がりにくいというデメリットもありますので、注意しましょう。

2 社外研修

 社外研修は、外部から講師を派遣してもらったり、外部の研修会社が主催する公開研修会に参加するという研修方法です。カリキュラムの作成、指導内容を外部講師のアイデアを取り入れながら実施することができ、企業の既存のノウハウや価値観にとらわれず指導してもらうことが期待できます。社内研修では得ることが難しい新しい知識や斬新なアイデアを得ることもできるでしょう。また、公開研修に参加すれば、全く面識のない参加者と一緒に研修をするわけですから、緊張感を感じながら、自社や自分自身のレベルを認識することができます。そしてそれが、危機感につながり、成長への意欲につながるでしょう。

 一方で、社外の講師へ支払う費用が発生しますから、本当に自社に合う研修内容になっているかの十分な吟味が必要です。効果やコスト面を考慮して、慎重に検討することが必要です。

コロナ禍で変わった集合研修

 新型コロナウイルスの影響を受け、企業の社員研修の実施状況にこれまでにない傾向が出ています。

 特徴的なものとして、集合研修から通信教育、オンライン研修へのシフトが見られます。感染状況の予測が困難なことから、集合研修を確実に実施できる見込みが立たないことが背景にあります。また、来期の人材育成予算を確保する意味からも、今年度予算を消化するために通信教育といった方法にシフトするといった方針転換の動きもあったようです。

激減している研修、
継続される研修

 集合研修のなかで激減しているものとしては、ヒューマンスキル系の研修があります。ヒューマンスキル系の研修では、個人的な接触を伴うものがあるために、やむを得ず中止しているところがあります。
さらに激減しているものの代表的なものは、講演会形式の研修です。
研修会社では、ここ数年、講師を紹介するコーディネート業務が、景気の良さと共に拡大してきていました。しかしこの方式は、多くの受講者を集めることが優先されることから、コロナウイルスで最も影響を受けてしまっています。

 一方、それほど減少していない研修もあります。課題を明確にした研修は、それほど減少していないという興味ある傾向があります。別の見方をすれば、「課題を明確にできない研修は減っている」ということになります。

 コロナ以前は、手数をかけなくてよい能力開発型研修を優先する傾向がありました。新入社員、中堅社員リーダーシップ、管理職のマネジメント研修などです。それがコロナの影響で、手数はかかるが現場の課題を明確にして取り組む課題達成型研修が支持されるようになりつつあります。

 能力開発型研修と課題達成型研修を比較すると、コロナ禍にあっても課題達成型研修が継続されているという背景が見えてきます。(図表参照)

能力開発型研修と課題達成型研修の比較

 能力開発型研修の目的は、知識習得、意識向上、徹底により、学習したことを職場に戻ってからの行動に活かすことです。それに対して、課題達成型研修では、業務に直結した課題に対する動き方を、行動レベルまで研修の中で方向づけるという効果を求めることが目的となります。

 したがって、能力開発型研修では、研修の場で教えることが中心となり、比較的短期間に行われるところに特徴があります。

▼管理職向けの研修には
こんなものがあります▼

管理職のスキル向上と意識改革研修

▼中堅社員向けの研修には
こんなものがあります▼

強い現場を作るリーダー育成研修

 一方、課題達成型の研修は、組織に戻ってからの実践が中心となるために、研修期間が3ヶ月から2年程度と長期的になるところに特徴があります。この2つの研修は、どちらが優れているというものではなく、全体の組み立てをするときにどこに重点を置くかによって変わってきます。

 前述の通り、新型コロナウイルスの影響を受けているのは能力開発型研修のほうであり、こちらはオンライン研修への切り換えが行われています。課題達成型研修のほうは長期的であり、また参加者が少人数であることから、継続することへの抵抗が少ないです。これが、課題達成型研修が支持される背景にあります。

▼現場の課題解決を実践していく研修には
こんなものがあります▼

問題解決実践研修

課題達成型研修の展開方法

課題達成型研修を展開するには、以下の4項目のステップに分けて検討してみることです。

(1)研修課題の明確化

 課題達成型研修を成功させるカギは、「研修課題を明確に定義できるかどうか」にあります。

 多くの研修プログラムを見ていると、研修の目的の中に課題が示されていないものがあります。では、研修課題の設定の仕方はどうすればいいのでしょう。まず経営上の課題を、市場戦略から営業体制、運用体制、調整体制、人材開発体制等の面から整理してみることです。するとそこから、人材育成を進める上でのストロングポイントとウイークポイントが明らかになってきます。

 これによって人材育成を進める上でストロングポイントを活かすか、ウイークポイントを補足するかを見極めることができます。そのためには、変化のポイントには何があるかを加味して考えてみることです。

 そうすると、ここから社員の成長に向けた課題が集約されてくることになります。ただし、その集約されたものを見ていくと、実際には人材育成だけでは難しいと思われるものがあるのも現実です。

(2)研修の組立て(参加者、期間の設定、内容の検討)

 研修課題を明確に設定することができたら、研修内容の検討を進めながら、参加者と研修期間を調整していくことになります。研修内容については、プロセスの検討が中心となります。これらをバランスよく設定することが大切で、参加者、期間が変更となれば、研修内容も検討しなければならないということになります。

  1. 参加者については、対象者と人数について検討します。対象者は、設定した課題の解決に関与できる人材を中心に検討する必要があります。そして、参加人数については、参加者がそれぞれの組織に戻って課題解決に取り組むことになるため、その展開状況をフォローすることを前提に、あまり人数を増やさないことです。
  2. 期間の設定では、研修課題を達成するためにどの程度の期間を要するかを予測することになる。最小単位としては、3ヶ月(四半期)の倍数が基準となってくる。
  3. 研修内容については、参加者、期間とのバランスを検討しながら、プロセスにより、いかに研修課題を達成していくかがポイントになります。課題達成型研修では、単発(一回限り)の研修は極めて少なく、複数回の実施が一般的です。したがって、集合研修をつなぎながらプロセスを調整していくことになります。

(3)研修の展開(職場での実践内容)

 課題達成型研修を展開するにあたっては、能力開発型研修とは異なり、参加者が職場に帰ってから何をするか、どう働きかけるかが求められます。そのため、主催者側から一方的に働きかけるのではなく、参加者の意見を聞きながら、課題解決に向けて何かできるのかを、確実なところで設定すべきです。

 このときポイントとなるのは、今回の研修から次回の研修にどうつないでいくか、次の研修までの期間に職場でやってみる事柄を明らかにして参加者全員が実行できるように、後押しをすることでしょう。

(4)研修効果の測定評価

 課題達成型研修の効果測定では、数値化するか具体例で分かるものにすべきです。仮にクレームに関する研修課題であるならば、実際のクレームにはどのようなものが何件くらいあるのかを、事前に把握しておく必要があります。

 そうすることによって、一連の研修が終了したあとにクレーム数がどれくらいになっているかという数値の測定が可能になります。

次世代の人材育成に向けた取り組みを進めるために

 課題達成型研修がコロナ禍で削減されなかった背景には継続性があります。JMDA教育研修センターでは、次世代の管理職に必要な意識・知識を向上させるためのトレーニングを繰り返し提供し、将来の組織を担い、業績向上に貢献できる幹部候補を育成しています。まさに刻々と価値観が変化している現在、この変化に対応する課題達成型プログラムを行っています。

 最後に課題達成型研修のメリット、ポイントをまとめると、次の4点になります。

  • 業務に直結した具体的な課題の設定
  • 職場での実践・検証・改善
  • 継続的かつ中期的な実行
  • 課題の達成度測定

 どのような完成された組織であっても、課題が存在しないことはありません。したがって、次の研修課題に目を向けることが、人材開発担当者にとっての課題となります。

 その意味で留意しておきたいことは、課題達成型研修を進めていくと、課題を達成するプロセスを通じて、どうしても参加者の視野が狭くなる傾向がある点であります。そこで、視野を広げるために、今度は能力開発型研修が求められるようになります。外部の研修を利用して他流試合の経験をする機会を導入するのもおすすめです。この視野の絞り込み、そして拡大を調整する教育の設計が、人材開発担当者に求められることではないでしょうか。

日本経営開発協会・関西経営管理協会
JMDA教育研修センター顧問

平松 陽一







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課題達成型研修の実施事例解説  「新入社員の育成・定着への取り組み」

(1)新入・若手社員の育成に悩みをかかえる上司・マネージャー

◆部下に対してこんな不満を感じる…

  • 自分で考えて行動せず、言われたことしかやろうとしない
  • 自分から“報連相”をして来ない(訊いて来ない)
  • 注意をすると、すぐメンタルに支障をきたす
  • コミュニケーション時の反応が分かりにくい
  • ようやく育ってきた優秀な人材が辞めてしまう

◆今の新入社員や若手社員の特徴…

  • 素直で良い子だが、本音が見えにくい
  • 上下関係が苦手でゆるい横の繋がりを好む
  • ルールは守るが、暗黙のルールが分からない
  • 褒められると頑張るが、怒られるとやる気を失う
  • 何かにつけて評価をするのが得意

では…こんな新人をどう育てますか?

(2)理解すべき組織内の2つのギャップ

組織内に様々な“ギャップ”が起きてしまっており、これまでのやり方が通用しなくなっています。

ギャップ1 価値観(世代・性格)のギャップ

過去と違う価値観
  • 社内での競争環境に馴染めない人や、役職を目指す意識が低い人の増加
  • 結果ではなく自分がいかに頑張っているかという “プロセス”を見て欲しい(定性評価重視)
  • 会社での業績や結果よりも、どちらかと言うと “自分の成長”に興味がある

新入・若手社員は、社会人になるまで、いわゆる「ゆとり教育」を受けて育ってきました。そこでの人間関係は、先輩、後輩の「主従関係」が極めて緩いもので、「フラット」な関係に慣れてしまっています。会社では当たり前の上下関係の意識は、極めて薄い環境で育ってきたのです。

また、上司世代との態度・行動の価値観も違います。上司の価値観で、「普通、常識で考えたらこうすべきだろう」と注意しても、その普通、常識が上司世代とは違いますので、上司の言っていることは、部下にとっては不可解に感じ、理解できないと感じていると思ってください。しかし、就業規則などの「ルール」は理解し守ります。それは明文化されていて、誰もが納得できる合理性のあるものだからです。

ギャップ2 コミュニケーションのギャップ 

「SNS」の普及により、若手世代では、“便利で手軽”な“一方通行”のコミュニケーションが主流となっており、双方向のコミュニケーションが激減しています。

  • いつでも簡単に情報が手に入るという意識から、情報を記憶やメモにストックする意識が低下
  • 雑談の延長線上で行ってきた、気軽な相談が無くなり、本音も言わなくなった
  • 結果よりも頑張っている部分などの定性部分は見て欲しいが、いちいち確認されるのはイヤ

(3)これからの新入・若手社員の人材育成のあり方

今までの自社での教育のシステムをみると、集合研修のような効率のよい画一的“教育”が中心でしたが、これからは、個々の特徴に合わせ、個々に育て方を変える“育成”をプラスして行なわなければ育ちません。
育成とは、本人に目標・計画を考えさせ、実践する中で心が折れてしまわない程度につまづかせ、気づきを与えて成長させる。そういったサポートはとても根気のいることですが、若手が仕事を通じて自ら学ぶOJTの環境づくりを構築することが重要です。

そして上司世代が、ついついやってしまいがちで、気を付けるべきポイントがありますので参考にしてください。

  • 「あの社員はできているのに、なぜ君はできないんだ」など、比較の表現を使って「叱る・怒る・怒鳴る」などの指導を行う事は、コンプライアンス違反、パワハラに認定されやすいので避けましょう。
  • 特に、比較の表現に関しては、少子化とゆとり教育によって急激に耐性が不足しています。
  • 上手くいっていない相手に対してはまず、「承認の言葉」を投げかける事が効果的です。
    自分を見ていてくれていると感じることが、モチベーションを高めることにつながります。

以上をふまえ、上司が若手を育てるために必要なスキル、ノウハウをまとめると、
①観察力 ②傾聴力 ③説明力 となります。

  1. ①観察力とは、表情や声・態度など個々の変化を読み取ることです。日頃意識して行なうことで、人事評価などにも有効となります。
  2. ②傾聴力とは、部下の話を聴ききるということ。部下の話の途中でさえぎって、憶測や推測でアドバイスをしないことです。“こうに違いない”という思い込みに要注意。1on1面談などでも意識してください。
  3. ③説明力とは、理由や意味を伝えることです。“そういうものだ”や“当たり前だから”という指導は納得性が得られません。なぜしなければいけないのかを、理解できるように説得することです。

新入社員・若手社員は、少子化、教育環境の変化、価値観の多様化により、上司世代と全く違う考え方を持っています。自分たちの時代の教育のやり方を押し付けようとするのではなく、彼らの考え方を理解し、彼らがわかるように丁寧に説明し、時間をかけて育成するというふうに日々の教育の仕組み、フォローアップ体制を大きく変えていく必要があります。最後に繰り返しになりますが、部下個々の特徴に合わせ、一人一人育て方を変える“育成”こそが、これからの教育制度のキーワードです。

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